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暖かくなってくると、やにわに妻は「そろそろ対策を立てねば」と言う。黒いGに対してだ。Gといってもゴジラではないが、まるで多摩川でゴジラを迎え撃つタバ作戦のごとく(『シン・ゴジラ』見てください)、武器無制限であらゆる手を打とうとする。ブラックキャップをあちこちに置き、エアコンの配管にはネットを貼り、多種類のスプレーを構え、留守中にバルサンを焚く。玄関とベランダを最終防衛ラインとした防御結界を張っている。容赦のない布陣だ。それでも我が家は過去2回ほど侵攻を許しており、台所とトイレであった。やっぱり出るのは水回りなのだ。幸い2回とも妻の目に触れる前に対処できた。そうでもしないと、発狂して自宅がブラックキャップで埋め尽くされてしまう。
うちのクリニックに来院された方はお気づきかもしれないが、飲食店が多く割と雑然とした通りに面しているので、新築の建物であろうがGの侵攻は防ぎ切れないと最初から腹をくくっている。ブラックキャップとかコンバットに代表されるベイト(毒餌)剤を配置し、いざというときに即効性のあるスプレーも複数用意。医療機器があるため燻煙剤は難しいけれど、妻の提唱するガイドラインに沿って、できる限りの対策は講じた。ただ以前から気になっていたのだが、玄関先やベランダに置かれているベイト剤、これって逆にGを呼び寄せているのではという疑念がある。Gにとって「死ぬほどうまい食べ物」(実際死んじゃうのだけれど)がほいっと置かれていたらどうか。俺も俺も、と招かれざる客人をわざわざ自宅におびき寄せることにならないのだろうか。
気になって調べてみると、ベイト剤の誘引範囲は約1mとのこと。たまたま通りかかったGだけが引っかかるだけというわけだ。巣に持ち帰り、巣の中で死んで、その個体を食べた別のGも死ぬので、一斉に駆逐できるという算段らしい。そううまく行くもんかねとYoutubeで検索してみると、この世の中、虫系youtuberという方々も存在していて、実際に実験している動画をおそるおそる見てしまった。想像以上に効果は絶大で感心したのだが、その後当分はGの関連動画がおすすめに出てくるようになったので、あまり勧められるものではない。
しかしそう考えると、アース製薬とかキンチョーとかフマキラーの人たちは本当に偉いものだなと思う。Gの対策を練るためには、もちろんGを大量に育てなければいけない。医師だって基礎研究するときはネズミを育てたりするけれど、ネズミとGではその愛嬌に千里の逕庭がある。控えに言っても、Gが繁殖されている研究室は心穏やかな環境とはいえないが、そこは矜持を持って仕事をされているのだろう。何気なく部屋のすみっこに置かれている一個のブラックキャップにも、研究員の方々の執念みたいなものが詰められているかと思うと、有り難く感じる。時間とお金に余裕があれば、日頃の感謝を込めて会社に投資してもいいかもしれない。それくらいお世話になっている。
ちなみに先日、診察中にG騒ぎがあった。スタッフに控えめに声かけられて、ついにかと立ち上がった。実際にはGではない小さな昆虫だったのだけれど、スタッフは誰ひとり対処しえず、患者さんの面前もあり静かに騒然としていた。防火訓練で消火栓を抜く練習も大切だけれど、おそれず迷わずゴキジェットPROを噴射する訓練も同様に必要みたいだ。気温が20度を超えると、いよいよシーズン到来とのこと。皆さん、今のうちに仕込みをがんばりましょう。