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今年も風が強く吹いている
院長ブログ
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2025/01/04 院長のひとり言
今年も風が強く吹いている

正月の風物詩といえば箱根駅伝。正式には東京箱根往復大学駅伝競走、関東の大学しか出られない地方大会である。テレビ放送の退潮がささやかれて久しいが、この規模の中継をできるのはやはりテレビの強みであるし、活路といえばもはやスポーツしかないのではないかとも思える。二日間往復200km超のレースの観戦が国民的行事になっていることは十分驚くべきことなのだけれど、さらに夢を見るとすれば、国際的な競技になっているところを見てみたい。

 

マラソンで上位を占めるのはアフリカ勢ではあるものの、平坦のスピードでは敵わなくとも、10名程度のランナー構成とバリエーションに富んだコースを設定すれば、一方的な展開にはならない妙味が駅伝にはあるはずだ。六大マラソンがロンドン・シドニー・ベルリン・シカゴ・ニューヨーク・東京であることを考えれば、長距離走を愛する市民ランナーは全世界にいる。駅伝が国際的に広がる可能性だってゼロではないだろう。

 

もっとも競技者にとって、長距離走はあくまで個人競技で、スタートからゴールまで自分の足で走り抜くものだとという意識が強いなら、チームの一秒を削り出す駅伝形式には馴染みにくいのかもしれない。また箱根駅伝の場合、倒れ込むたすきリレーや伴走する監督の檄、区間記録の更新、シード権争い、そんな生のドラマをどのようにショーとしてお茶の間に届けるかという中継手腕も大きな魅力になっている。それもパッケージとして送り出さないと、ただレースを漫然と流すだけでは海外で多くの観戦者を惹きつけることはできないかもしれない。

 

ところで、昔は僕も少し走っていた。大学病院のレジデント時代はいわゆる皇居ランナーだった。お茶の水から神田川沿いに赤坂迎賓館まで走り、国立競技場の方へ回った後、青山一丁目と永田町を経て皇居の周回に至る。起伏に富んだ都心を味わえる、ちょっといいコースだった。あの頃は有り余る体力で夜10時に仕事終えてからでも15km近く走ったりしていたが、桜田門を回ってから丸の内のビル群の夜景を横目に見ながら走るのはいつだって気持ちよかった。深夜に霞ヶ関の官庁の電気が煌々と光っているのを見ながら、官僚の厳しい世界に少し思いを馳せた。

 

この時世、開業そのものが天下の剣の山登りくらい険しい道かもしれないが、正月くらいはほっと一息、サッポロ黒ラベルを開けてぼーっと箱根駅伝を見ていてよかっただろうか。マツコ・デラックスは箱根駅伝を録画して正月のうちにまた一から見直すのだそうだ。同じく箱根駅伝が好きな方、三浦しをんの「風が強く吹いている」をぜひ読んでみてください。お正月にゆっくり読書も悪くないものです。