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ゾウガメの哲学
院長ブログ
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2025/04/02 院長のひとり言
ゾウガメの哲学

開業してからというもの、基本的に四六時中、電子カルテの前に座っている。おしりが痛くなったことは以前に書いた。慣れもあるのかもしれないが、それは少し改善しつつある。当院の平日の診療時間は、9時から12時半と14時から17時の計6時間半。たまに患者さんに「短いですね」と言われるが、とはいえ睡眠時間と同じくらいなのだから、引き続きカルテ環境の整備は急務である。

 

 

それで何に取り掛かったかというと、キーボードとマウスの無線化である。これによって、モニターの前に這う2本の黒い線がなくなって、すっきりする。ロジクールのパームレスト付きのキーボード(WAVE KEYS K820)とトラックボールのついたマウス(M575SP)を購入した。キーボードの方はぐにゃっと湾曲しているデザインで、人間工学的にこれが良いらしい。マウスは右手でちょうど覆うように置けるくらい大きく、文鎮のように動かない。ミドリガメのような扁平な亀ではなく、ガラパゴスゾウガメのような曲率の大きな甲羅の上に手を乗せている感覚である(見たことないけれど)。そして、親指の下に鎮座しているピンポン球くらいの大きさの重いトラックボールをころころ転がして、ポインタを動かす。キーボードは割と簡単に慣れてしまった。誤操作もなくなった。キーボートにパームレストがあると、本当に手首が楽でおすすめです。問題はマウスである。

 

従来のマウス(光学式マウス)は、肘を支点にして机の上を動かしていた。それを親指でトラックボールを転がして操作するのだ。普段の右上肢の運動が大きく変わる。イメージとしては、ボーイングとエアバスの操縦装置くらい違う。操縦したこともないのに何を言っているのか、いや実際全部想像なのだが、でもそれくらい違う。マウスと話がずれるが、飛行機が大好きなのでご海容いただきたい。

 

たまに飛行機乗るくらいの方でも、ボーイングとエアバスと言われればなんとなくわかるのではないだろうか。ボーイングといえば古き良きジャンボジェットB747であるし、エアバスといえばホノルル線でANAが就航している総二階建てのA380が有名である。ボーイングにはヨークという呼ばれる伝統的な操縦桿がある。車のハンドルに近い形の操縦輪とそれを支える操縦桿が両足の間に立っており、両手で正面の操縦輪を握る。エアバスが採用する操縦装置はサイドスティックであり、操縦士の横にあるスティックを片手で握る。ボーイングの操縦桿は物理的・直感的な感覚が重視され、機体をアナログで操作している感覚に近い。エアバスの操縦装置は電子制御され、軽く小さな動きで済むため疲れないとされる。そもそもの両者の設計思想には、ボーイングは「人間がコントロールしている感覚があるから安全」、エアバスは「人間のミスをシステムが防いでくれるから安全」、という哲学の違いがある。どちらが良いという話ではなく、中大型機において両者がシェアを二分していることからも、どちらも正しいのだろう。

 

マウスの話に戻すと、光学式マウスはボーイングの操縦桿、トラックボールマウスはエアバスのサイドスティックのイメージである。画面のポインタを動かしたいという欲求に直感的に応えているのは光学式マウス。かたやトラックボールマウスは手首すら動かさないため、「慣れれば」上肢の負担がなく楽なんだそうである。だがやってみればわかるが、これはまさしく修行である。狙ったところにポインタが行かない。届かない。通り過ぎる。これを患者さんと会話しながら行うので、より難儀である。最初は親指の先でボールを操作していたが、親指だけが妙に緊張して疲れる。肩まで凝ってくる。調べてみたら、親指の第一関節でボールを包み込む様にして、最小限の動きで操作するのだそうだ。慣れてくると、ころころ転がすというよりくりくり回す感覚がつかめてくる。

 

パイロットは原則一種類の機体しか操縦できない。機体の乗り換えには都度訓練と資格取得が必要なのだ。患者さんの目の前で電子カルテの操作が不如意な状況とならないよう、僕も日々鍛錬を積んでいる。親指を動かす頻度だけめっぽう増えて、半年後には右手の母指球筋だけムキムキになっているだろう。つまり、このマウス、他のスタッフにはとてもお勧めできません。