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Everything
院長ブログ
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2026/01/21 院長のひとり言
Everything

ちょっと時間が過ぎてしまったが、少し前の話題。大晦日といえば紅白歌合戦である。

 

思えば、地上波の番組編成が紅白と格闘技(とテレ東)で埋め尽くされていた時代もあった。学生時代、実家暮らしだった僕は、ご多分に漏れず、大晦日だけはなんとなく夜更かしして、ダラダラとテレビを見ていた。YouTubeもNetflixもInstagramもない。手持ち無沙汰になれば、反射的にテレビをつけてしまう時代だった。冬休みになると、近所のTSUTAYA(もうない)でDVDを借りだめし、大晦日は紅白を見て、蕎麦をすすりながら「ゆく年くる年」を見て、そのまま朝までカウントダウンTV。それが今では、子どもと一緒に夜10時過ぎには寝てしまっている。今回も、大晦日らしいことなどひとつもなく過ごした。

 

それでも、なんとなく紅白だけは録画してあって、後日ばーっと早送りしながら見た。年々見知らぬアーティストが増えていくよなあと、つい紋切り型の愚痴をこぼしたくなるが、親になってみると、子どもたちの流行を知っておく必要もある。僕のプレイリストに入っている90年代ポップスなどを車で流そうものなら、後部座席から即座にクレームが入る。小室哲哉なんて令和の子どもたちにとっては、ほとんど演歌のようなものだろう。聞いたことのないアーティストの聞いたことのない曲であっても、子どもたちが風呂場で歌い出したら、すぐにiTunes Storeでダウンロードして、プレイリストに追加する。そうやって、親の音楽ライブラリは静かに未知に侵食されていく。

 

そんな紅白の終盤で、粋なことをするなあと思わされる瞬間があった。紅組のトリをつとめたMISIAが『Everything』を歌うその途中で、一瞬カメラが、歌声に聞き惚れている審査員の松嶋菜々子の表情を抜いたのである。Everythingに松嶋菜々子。松嶋菜々子に審査員を依頼したNHK側も、もちろん狙っていたのだろう。それでもあの一瞬で、ぶわっと懐かしさが込み上げた視聴者は、きっと少なくなかったはずだ。これはもう、ドラマ『やまとなでしこ』の完璧なコンビネーションである。

 

木村拓哉が好きだという話は以前させてもらったが、僕のきわめて乏しいドラマ視聴歴(韓ドラも含めて)の中で、圧倒的な一位に君臨し続けているのは、残念ながらキムタクのドラマではなく、この『やまとなでしこ』だ。最高視聴率は34%超で、フジテレビ月9の黄金期を象徴する作品。出演俳優の不祥事もあって、長らく再放送は叶わなかったけれど、最近になってNetflixで配信されるようになった。2000年のドラマだが、今見てもまったく色褪せない作品である。

 

お金持ちとの結婚を夢見る桜子(松嶋菜々子)と、貧乏を絵に描いたような欧介(堤真一)。「女の売りどきのピークは27歳」とか今ならコンプライアンスに引っかかる台詞を、あれほど嫌味なく吐けてしまう桜子。その天気のようにころころ変わる喜怒哀楽は可愛らしく、大きな口を開けて笑ってもなぜか品がある。堤真一が演じる役柄は作品ごとに幅があるが、この朴訥な欧介もいい。そして、佐久間(西村雅彦)邸でのやりとりは、筧利夫や堤真一といった舞台俳優が揃っているせいか、アドリブもおそらく相当効いていて、フレンズやフルハウスのような海外シットコムを見ている感覚があった。あの軽やかさが、たまらなく好きだった。

 

欧介のライバルとして登場する東十条司(東幹久)という名前が、王子駅のひとつ手前の東十条駅(王子まで、あと一歩)から取られているというエピソードも、ジョークが効いている。この東幹久もおそろしいほどのハマり役で、気がつけば愛すべき恋敵になっていた。ちなみに、佐久間(西村雅彦)が外科医として勤めている病院の撮影に使われたのは、東京都立大塚病院である。最初に大塚病院へ赴任して病院の外観を見たときに、ひとりで妙にテンションが上がった記憶がある。

 

そして何より、最終話。最後にEverythingが流れる、その一瞬前に放たれる桜子の台詞、「残念ながら」――この言葉の使い方として、あれはもう広辞苑の例文に載せてもいいほどだ。最終話では、すべてのシーンが疾走感を伴って過ぎていくのが愛おしく、すべての登場人物が二人のあるべき幸せを祈って祝福する様子に、視聴者はハッピーエンドを待ちきれなくなる。脚本家・中園ミホの傑作であり、つくづく、うまいなあと思う。

 

しかし、当のNetflix、見る時間なくて一度解約してしまったのだけど、勝手にサブスク再開したら妻に怒られるだろうか。