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性感染症による尿道炎について
院長ブログ
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2025/01/09 泌尿器科医の視点
性感染症による尿道炎について

当院の診療も始まりましたので、いつものひとり言とは異なり、疾患についての解説も行っていこうと思います。

 

今回は性感染症(STI)による尿道炎についてまとめました。
性感染症(STI)は主に性行為を通じて感染する疾患で、その中には尿道炎を引き起こすものがあります。
尿道炎は男性に多く見られますが、女性にも発症することがあります。

 

◆ 原因

 

1. 淋菌性尿道炎
原因菌:淋菌(Neisseria gonorrhoeae)
特徴:潜伏期間は2~7日で、感染力が高く、症状は強く出る傾向があります。

 

2. クラミジア性尿道炎
原因菌:クラミジア(Chlamydia trachomatis)
特徴:潜伏期間は1~3週間、症状が軽度なことが多く、特に女性では無症状のまま感染が広がることがあります。

 

3. 非淋菌性・非クラミジア性尿道炎
原因菌:マイコプラズマ(M. genitaliumなど)やウレアプラズマ(U. urealyticumなど)
特徴:クラミジア性尿道炎と症状が似ている場合が多いです。

 

4. その他の病原体
トリコモナス(Trichomonas vaginalis):女性の膣炎と関連があります。
ヘルペスウイルス(HSV)や梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum):これらも尿道炎を引き起こすことがあります。

 

◆ 症状

 

・排尿時の痛みや灼熱感
・頻尿や残尿感
・尿道からの分泌物
淋菌性:黄色や緑色の膿性分泌物が多い。
非淋菌性:透明から乳白色の分泌物が一般的。

症状が進行すると、男性の場合は精巣上体炎や前立腺炎、女性の場合は骨盤内炎症性疾患(PID)に進展する可能性があります。

 

◆ 検査

 

1. 検体採取
男性:初尿(最初の10~20ml)を使用。
女性:膣分泌液の採取が必要な場合があります。

 

2. 検査方法
一般尿検査:尿中の炎症反応を確認。
核酸増幅検査(PCR法):特定の病原体を正確に検出。

 

3. 保険診療と自費診療の違い(少し複雑ですがここは大事です)

保険診療の対象:
症状があり、下記の病原体を疑う場合に限ります。
淋菌、クラミジア、マイコプラズマ・ジェニタリウム、トリコモナス

 

自費診療の対象:
・ご本人に症状がない場合(例:パートナーが感染した際の検査希望など)。
・当院で咽頭の検査を希望する場合。
・マイコプラズマ・ホミニス、ウレアプラズマ・パルバム、ウレアプラズマ・ウレアリチカム、ヘルペスウイルスHSV(尿道炎の場合)の検査は保険適用外。

 

◆ 治療

 

原因菌に応じた抗菌薬等の使用が中心です。

 

治療例
・淋菌性尿道炎:セフトリアキソン(注射)、スペクチノマイシン(注射)
・クラミジア性尿道炎:アジスロマイシン(経口)、ドキシサイクリン(経口)
・非淋菌性・非クラミジア性尿道炎:シタフロキサシン(経口)、ドキシサイクリン(経口)
・トリコモナス症:メトロニダゾール(経口または膣錠)

 

◆ 自費診療の費用(すべて税込)

 

1. 初診料・再診料
・初診料:3,000円
・再診料:1,000円

 

2. 検査費用(すべて一般尿検査とPCRを含みます)
・淋菌単体:6,500円
・クラミジア単体:6,000円
・淋菌+クラミジア:7,000円
・マイコプラズマ・ジェニタリウム+トリコモナス:7,000円
・マイコプラズマ2種+ウレアプラズマ2種+HSV:10,000円
・淋菌+クラミジア+マイコプラズマ2種+ウレアプラズマ2種+HSV:15,000円

 

3. 治療費
・セフトリアキソン(点滴):5,000円
・経口薬処方の場合、別途処方箋料:700円

 

※ 2025.1.6 初回設定

 

◆ 最後に

 

性感染症は適切な治療で治癒します。しかし、放置すると合併症を引き起こしたり、周囲に感染を拡大する可能性があります。
症状がある場合や感染が疑われる場合は、早めに受診してください。