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前回に引き続き、性感染症に関する情報として、尖圭(せんけい)コンジローマについてまとめました。
この疾患は、性器にイボのような病変が現れ、早急な治療を希望される患者さんが多いのが特徴です。
◆ 原因
尖圭コンジローマは、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によって引き起こされます。
主なウイルス型:HPV6型と11型
これらは低リスク型でがん化の可能性は低いですが、尖圭コンジローマの90%以上の原因となります。
◆ 症状
イボ状の病変
性器や肛門周囲に小さなイボが発生します。イボは乳頭状、鶏冠状(ニワトリのとさかのような形)、またはカリフラワー状になることもあります。ピンク色や灰色で、複数のイボが集まる場合があります。
発生部位
男性:陰茎、包皮、尿道口、肛門周囲
女性:外陰部、小陰唇、大陰唇、膣、子宮頸部、肛門周囲
まれに口腔や喉に発生することもあります。
潜伏期間は数週間から数ヶ月で、症状が出るまで時間がかかるため、感染時期や感染源を特定することが難しい場合が多いです。
◆ 検査
・視診
医師が肉眼でイボの形状や色、発生部位を観察して診断します。
尖圭コンジローマは特徴的な外観を持つため、視診で診断可能なケースがほとんどです。
・組織検査
切除時に病変の一部を採取して病理学的に確認します。
◆ 治療
尖圭コンジローマの治療は、病変の大きさや部位、患者さんのご希望に応じて選択されます。
・外用薬による治療
イミキモドクリーム(商品名:ベセルナクリーム)
患部に塗布して免疫反応を活性化させ、ウイルスを排除します。副作用として皮膚の炎症や赤みが生じることがあります。クリームだけでは治療効果として不十分のため、下記の治療を併用することが多いです。
・冷凍療法
液体窒素のスプレーを噴射し、病変を凍結します。麻酔なしで施行できるので簡便ですが、病変が大きい場合や個数が多い場合には適しません。
・電気焼灼術/切除術
局所麻酔を行った後、電気メスを使用して病変を焼灼および切除します。
尖圭コンジローマは再発率が比較的高いため、治療後も定期的なフォローアップが重要です。
◆ 予防
・HPVワクチンの接種
男性に対するHPVワクチンとして、4価ワクチン(商品名:ガーダシル)が承認されています。このワクチンは、HPV6型・11型・16型・18型の感染を予防し、尖圭コンジローマだけではなく陰茎がん・中咽頭がん・肛門がんなどのリスクを低減する効果が期待されています。一方、9価ワクチン(商品名:シルガード9)は、2021年2月から販売されていますが、男性への接種は承認されていません。多くの先進国では男女ともにHPVワクチン接種を推奨されているものの、日本では男性へのHPVワクチン接種は公的な定期接種の対象外であり、接種費用は自己負担となります。男性のHPVワクチンは9歳から26歳までに接種することが推奨されています。27歳以上の接種については接種効果と個人のライフスタイルを勘案して判断します。
※ 当院は川口市の委託医療機関ではありませんので、HPVワクチン定期接種対象の女性も費用助成を受けることはできません。
◆ HPVワクチンの費用(すべて税込)
1. 初診料・再診料
初診料:3,000円
HPVワクチン接種においては、ワクチンに関する初回説明時のみ初診料をいただきますが、2回目以降に再診料はかかりません。
2. ワクチン接種費用
4価ワクチン(ガーダシル):1回 17,000円(3回接種で51,000円)
当院では男性への接種を想定しています。2回目・3回目の接種は初回接種から2ヶ月後・6ヶ月後に予定します。ガーダシルは現在出荷調整がされており、ご要望に応じて入荷手配いたします。詳しくは当院までお問い合わせください。
◆ 最後に
尖圭(せんけい)コンジローマは、ヒトパピローマウイルス(HPV)による性感染症であり、性器や肛門周囲にイボ状の病変を引き起こします。放置すると病変が大きくなり、治療の侵襲も大きくなります。コンジローマを疑った場合は早めに受診してください。
(参考)当院のインスタグラム