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夏の終わり
院長ブログ
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2025/10/01 院長のひとり言
夏の終わり

長い長い夏が終わろうとしている。やっと終わってくれるかと思う。今年の夏も暑すぎた。おかげで「若者のすべて」で志村正彦が歌詞に書いたような感傷に浸れない。花火を見ながらこれで夏が終わってしまうな、と思えないくらい暑さだった。そのせいか季節外れの花火大会も増えて、秋にも冬にも打ち上がるようになった。

 

元来、夏は好きだった。特に寒いのが苦手なので、雪が降るところには住めない。妻の出身が降雪地であるから、帰省するたびに冬のエピソードを聞くと胸ふたぐ気持ちにもなる。雪おろししたりタイヤ交換したりチェーン巻いたりするくらいなら、熊谷を有する埼玉でもいいかなと思ってしまう。もっと言えば、一番好きだったのは5月の初夏の日差しであった。たぶん母校の運動会の存在が大きい。年に1度のお祭りに、無条件にわくわくする季節だった。クスノキが街に香るようになると(樟脳の香り、僕にはブドウのような芳香に感じるのだけど)、ああこの季節がきたと思う。祭りの後にはTシャツと短パンで身軽に過ごせる夏が来るわけだ。

 

しかし今は、朝早くから強烈な陽光に照らされて日向を歩くと、職場につくまでに体力も一歩一歩目減りする。テレビゲームで毒沼を歩かされる主人公って、こんな気持ちなのだろうか。校区の端っこから小学校まで30分以上歩いて登校している子どもたちにも頭が下がる。日中35度以上になると校庭にも出られない。熱中症アラートという理由で、プールの授業や保育園の水遊びもなくなる。僕が小学生の頃は、寒さに耐えながらプールに入る日もあったのに。コロナ禍だって子どもたちの活動が大幅に制限されてかわいそうだったが、これから毎年夏が来るたびに外で遊べないのはもっと災難だ。

 

思い切り遊ぶためには屋内施設を拡充させなければいけないし、子どもたちが選ぶスポーツも室内競技にシフトしていくのではないだろうか。もちろん屋内に冷房は必須だ。際限なく増えていく室外機からは熱風が吐き出され、僕たちがもう日常的に使っているAIは桁外れの電力を食うデータセンターを必要として、その電力を作るためにせっせと大量の化石燃料が燃やされ、排出された二酸化炭素はまた来年の夏を少し暑くする。この繰り返し。気候変動とか温暖化とかというけれど、きっと倫理だけでは人の経済活動を抑えることはできない。少しずつ過ごしにくくなる夏を代償として甘受しなければならないのだろう。冷夏(昔はありましたね)なんて言葉には、生きているうちに二度と会えないかもしれない。

 

クリーニングから帰ってきた春秋のアウターを見ても、ここ数年は1-2回しか着なくなったんじゃないかと思う。今年はこのまま防虫カバーをしたまま、秋が過ぎるかもしれない。10月の予報見ても日中は25度とか書いているし、おそらくTシャツですごせるだろう。衣替えを面倒くさがっていると、急激に冷え込んで、慌ててダウンジャケットを引っ張り出すことになる。

 

今年も遅れてやってきて、そして一瞬で過ぎてしまう秋は、今このときにしか感じられない。フジファブリックの次は、「楓」の草野マサムネの歌声を流してみよう。