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子どもが保育園のハロウィンパーティーで、『鬼滅の刃』の蟲柱・胡蝶しのぶのコスプレをして出かけた。しのぶのような細身の体型ではないので、客観的に見て似合っているかと言われると正直わからないが、我が子だから何でも可愛いのである。ただひとつ気になるのは、口がポカンと空いていること。これも我が子だから愛おしく思えるのだけど、大きくなってもこのままだと少々心配になる。このままでは「蟲の呼吸」どころか、「口の呼吸」(まんま)の使い手になってしまう。なんとか鼻呼吸をしてほしくて、こうるさく口を閉じるよう言うのだが、なかなか子どもには伝わらない。
調べてみると、口を閉じていられる人は舌の位置が違うという。舌先が上の前歯のすぐ後ろに触れ、舌全体が上あごの天井(硬口蓋)にぴったり収まっているらしい。あまり意識することもないと思うのだが、改めて自分の舌の位置を確認すると、確かにその通り。舌は口腔の下側に収まるイメージだったが、実際は違うようだ。子供の場合は、硬口蓋を舌が押し上げることで上顎の成長が促される。つまり、口を開けたままだと上顎が十分に発達せず、おのずと歯並びが悪くなる。他にも口の乾燥は口臭にもつながるし、口呼吸はいびきの原因にもなるし、加湿されないため風邪もひきやすくなる。調べれば調べるほど、口呼吸はろくなことがないと書かれている。
子供たちはスイミングに通っているが、水泳だって二つの呼吸を使い分けなければならない。水上で口から吸い、水中で鼻から吐く。鼻でしっかり肺の空気を吐き切れれば、顔を上げた瞬間に自然と酸素が入ってくる。逆に息を吐ききれないと、顔を上げると同時に吸うことに必死になり、すぐに苦しくなる。口呼吸しかできないままでは、長く泳ぎ続けることは難しい。スポーツや勉強など、集中しなければならない場面ではなおのこと、呼吸法は避けて通れない。
そう考えると『鬼滅の刃』の出色の部分は、「呼吸」という概念を核に据えたところにあるのだろう。武道をたしなんでいる人であれば、思わず膝を打つ設定ではないか。へその下の「丹田」を意識して、胴体すべてを膨らませるイメージで鼻から息を吸って、その倍以上の時間をかけて口からゆっくり息を吐く。これはあらゆる武道に共通して意識されることであろう。第1巻で登場するミステリアスな少女・真菰(まこも)は、主人公の炭治郎にこう語る。
「全集中の呼吸は、体中の血の巡りと心臓の鼓動を速くする。そしたらすごく体温が上がって、人間のまま鬼のように強くなれる。とにかく肺を大きくすること、血の中にたくさん空気を取り込んで、血が吃驚(びっくり)したとき骨と筋肉が慌てて熱くなって強くなる。」
たかが漫画と思うことなかれ。鬼殺隊に入らずとも、呼吸は人生のあらゆる場面に通じる。スポーツも、勉強も、仕事も、そして日々の暮らしも、きっと呼吸の質は大きく結果を左右する。できれば子どもにも、その感覚を自然に身につけてほしい。冒頭の我が子は「花の呼吸」を使う剣士もお気に入りだという。けれど親としては、劇場版『無限城編』が完結するころまでには、「鼻の呼吸」を極めてほしいものである。
──なんて偉そうにブログの草稿を書いていたら、息子にいびきがうるさいと言われてしまった。親子でがんばろうな。